ピアノバルロン・ジャパン


ピアノ修復について

ピアノ修復とは
この業界では、「ピアノの修復」というとき、2つのタイプの仕事があります。 それらは全く別の職業と言ってもよいほどの違いがあります。
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1つ目のタイプは、博物館に入るような、歴史的に重要なピアノの修復です。
年代で言うと、ピアノが発明された18世紀前半から1840年頃までのピアノですが、フォルテピアノと呼ばれるこの時代のピアノは、非常に数が少なく、歴史的にも貴重な資料となっています。 このようなピアノは、博物館やピアノコレクターといった限られた人の手にしか渡りません。 歴史的な資料として残されるピアノですから、修復作業は機能を重視するより、なるべくオリジナルの部品を残します。 付け加えたり取り替えたりすることが必要な場合には、極力オリジナルに近いものを探してきたり、作ったりします。 そのようにして出来る限り当時の状態を保存することが、このタイプの修復の目的です。

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2つ目のタイプの修復は、1840年から1940年頃までのピアノが対象となります。
この時代は、ピアノの製造が工業化され多数のピアノが作られたので、現存している楽器の数も多くあります。 博物館に保存されるほどの希少価値はないものですので、一般の人の手に入ります。 またピアノの構造も、今のピアノに近いモダンなものですから、一般のピアノ愛好家にとって違和感が少なく、弾きやすいピアノです。 このようなピアノの修復は、現役で使われる楽器として甦らせることが目的ですから、機能的に重要な部品は新しいものに取り替え、使用に耐え得る状態にします。 もちろんその際には、オリジナルの材質に極力近いものを選ぶようにし、元のピアノの特性を甦らせる修復を心がけます。

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私が携わってきた仕事は、2番目のタイプ、現役として使われるピアノの修復です。
実際にどのような作業が行われるのかを、次にご説明します。

ピアノ修復の作業過程
現役の楽器として甦らせる修復~
現役として使われるためのピアノ修復の作業過程をご紹介します。
修復の作業は、大きく分けて3つの部門に分かれます。
1. 音に関わる部分(弦、響板、ピン板、鉄骨)
2. タッチに関わる部分(アクション、鍵盤)
3. 外装

1. 音に関わる部分(弦、響板、ピン板、鉄骨)

ピアノ解体
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響板修復
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響板が割れている場合は埋め木をします。
まず割れている部分を特殊なノミで開き、同じ材質の木をはめ込んで糊付けします。
削って平らにすると、割れが修復され一枚の板に戻ります。
次に、古いニスをはがし、サンドペーパーできれいにしてから、新しいニスを塗ります。
何度も重ねてニスを手塗りし、響板が完成します。

鉄骨
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掃除をして金色とニスを塗り替えます。

ピン板
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チューニングピンを支えているピン板はとても重要な部品です。
いくら他の部分をきちんと修復しても、調律を保てなければ楽器として使えません。
現役で活躍するピアノとして修復する時、このピン板の修理は重要なポイントです。
ピン板の状態が良い場合は、ピン穴を掃除してさらに太いチューニングピンに取り替えれば良いので、オリジナルのピン板をそのまま使えます。
状態が悪い場合、割れていたり、糊がはがれていたりする場合ですが、その場合にはピン板全体を作り替えます。
ピン板はピアノによって形が違うので、既製品を買ってあてがうことはできません。
その都度個々の形に合わせて作ります。
まずピン板を、形に切り、機械でけずって大まかな形を作ります。
鉄骨にぴったり合わなければならないので、何度も鉄骨と合わせながら、手作業で細かい部分を削ります。
こうして元のピン板と同じ形に作り上げます。
次にピン穴を開け、ピン板が完成します。

 張弦
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新しい弦を張ります。
すべての弦を張った後に、弦をはじきながらピアノを大雑把に調律し、すべての弦のテンションを上げます。


2.タッチに関わる部分(アクション、鍵盤)

 すり減ったフェルトや革、力がなくなったスプリングの交換
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ハンマーフェルトの巻き替え
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ハンマーフェルトの巻き替えは専門業者に依頼します。
ハンマーフェルトは、音に関わる重要な部分です。
フェルトは、特殊な機械を使って圧力をかけ、糊づけされます。
低音から高音までのハンマーは1枚のフェルトから作られ、糊づけされた後、切り分けられます。

鍵盤
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鍵盤に付いているフェルトを貼り替えます。
象牙鍵盤は、きれいに掃除して使います。
象牙鍵盤はプラスティック鍵盤に比べ、手に馴染みやすく弾き心地が良いです。

ペダル
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ペダルは真鍮で作られており、磨くときれいになります。
修理が必要な場合は行います。

アクション整調
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良いタッチを得るために、88鍵のアクションを均一に調整します。
とても細かい作業が続きます。


3.外装
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はがれたり欠けたりした化粧板の修復をします。木目の合う化粧板を選び、糊づけします。
古いニスをはがして、新しいニス、またはワックスを塗ります。
見た目もピアノにとって重要な一面ですので、外装の仕事も大切です。
昔の人は、手をかけておしゃれなピアノをたくさん作りました。


仕上げ

調律
音程を整えます。
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整音
音色を作ります。
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以上、ピアノ修復の主な作業をご紹介しました。
細かい部分をお話すればきりがありません。
これ以外にも色々な作業がまだあります。
とても時間と労力がかかる仕事です。
では、なぜこんなに面倒な仕事をわざわざするのでしょうか?
私たち修復師の考えを、次にご説明します。


ピアノ修復の意義

なぜ、古いピアノを修復するのでしょうか?

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前項でご説明したように、ピアノ修復とは大変な時間と労力がかかる仕事です。
では、なぜこんなに面倒な仕事をわざわざするのでしょうか?
新しいピアノに買い替える方が簡単です。
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しかし100年前のピアノを修復する価値があると、私たちは考えています。
戦前のピアノには戦後の大量生産のピアノにはない味があります。
戦前は、1台1台のピアノが丁寧に作られた時代でした。
木やフェルト、革などの材料も、今のものよりずっと良い質のものが使われました。
また、ピアノメーカーが個性を競い合い、こだわりをもって作っていたため、個性の強いピアノが残されたのです。
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それに加えて、ピアノが100年近くの年月を生きてきたということもピアノの音に影響します。
ピアノは大部分が木で作られているため、私たちのように呼吸しています。
響板がピアノの魂、とも言われますが、音色を決めるのに重要な部品です。
100歳のピアノは100歳の響板を持っているので、20歳の響板にはない味を出します。
もっと言えば、100年の生きざまを反映した音を出します。
一般的には、温度湿度の大きな変化にさらされず、大切に保存されてきたピアノが良くなります。
そして、たくさん弾かれてきたピアノ、たくさんの音楽を奏でてきたピアノが、良い音を出します。
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このようなことは科学的に証明できるわけではありませんが、私たち修復師が経験的に感じていることです。
昔のピアノからは、何とも言えない深い音色、やさしい響きがします。
それは、年月が、また歴史が醸し出す音だと、私は思っています。
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このような素晴らしい文化遺産を、古くなりくたびれたからといって捨ててしまうのは、残念なことです。
修復をすればまだまだ現役で活躍できるピアノはたくさん残っています。
修復することによってピアノに新しいエネルギーを吹き込み、ピアノがもともと持っていた魅力を甦らせるのが、私たちの仕事です。
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出来上がったピアノを弾く時の喜びは格別です。
長年ピアノ修復の仕事に関わってきた多くの人が言うことですが、1台として同じピアノができあがることはありません。
1台1台違う、個性の強いピアノばかりです。
もともとの個性に加え、それぞれのピアノが持っている歴史があるからです。
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私たちの仕事は、毎回違う感動を得ることができる、素晴らしい仕事です。
またそのピアノたちが、個性を気に入ってくれる人と出会い、音楽の友としてまた人生の友として新しい出発をする時、私たち修復師の喜びはこの上ありません。